キミ色
心地よい春風が俺達を包む。
その風と共にやってくるのは、俺とお揃いの花びらだ。


『前に進む』と言う事を知らない俺はまだまだ子供だったんだ…。





結局、時雨に何も言えないまま、午前中が終わり昼もあっという間に過ぎてしまった。
さっきまで俺達を照らしていた太陽は、黄色ではなくオレンジ色に近くなってきている。


時雨が隣で爆睡している間、俺はずっと考えていた。


時雨の気持ちを…
理解出来ないでいるイライラする気持ちを―…


どうして?
何故、時雨はそんなに簡単に切り捨てられるのだろう?と。



―…時雨の大切なヒト…。


時雨の運命のヒトとは……





―…永城 花音(カノン)




花音は…
俺の大切な大切な家族だったんだ。



血の全く繋がらない…
形だけの兄妹。



それが―…花音だった。



< 22 / 323 >

この作品をシェア

pagetop