すべては数直線の上に+詩集
彼女のそんな態度が、その時の僕をひどく苛立たせた。
こんなやりとりは決して初めてというわけではなかった。
むしろ、度々僕らはこうやって口喧嘩に至った。
ただ今回のこの苛立ちは今までで経験なかったくらいに強く、僕には、なぜか許せないことだった。

なぜ今回に限ってこんなに苛立ってしまうのだろう?
そこが僕にも分からなかった。

とにかく僕はこの抑えきれない苛立ちを、彼女にぶつけずにはいられなかった。

「話するときは相手の目を見て話しなさいって親に言われなかったか?」

誰がどう聞いても、怒っていますよねと言うような強い口調で僕は彼女にそう言い、さらに続けた。

「どうせ男からのメールなんだろ?何度も浮気しやがって!いい加減にしろよな!」

彼女は顔を上げ、携帯の画面から僕の顔へ視線を移した。
彼女は険しい表情で僕を睨み付け、口を開いた。

「うっさいなぁ。だいたいあんたが不甲斐ないからこうなるんでしょ?」

彼女のその言葉を聞いてから後の記憶があまりない。
< 76 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop