すべては数直線の上に+詩集
「彼女が入院してから2ヶ月ほど経ったときに、彼女の母親から彼女の病気のことと、彼女がそんなに長くはもたないことを聞きました。自宅に帰ってからひたすら泣きました...泣いて泣いて部屋にあったものなんかをぶち壊して。どうして彼女がそんな目に合わなきゃいけないのか僕には理解できませんでしたよ。それからです、人間はなぜ生きてるんだろう...なんて考え始めたのは。泣いては考え、また泣いて、考えて。毎日彼女の病室へ行きました。その時だけは僕は必死に笑って、彼女のことも笑わせました、一昨日の朝までは。」

そこまで話すと彼は、はぁ、とため息をついた。
彼の頬にはまだ涙が流れた跡が残っている。
ユウタは相変わらず口を閉ざしていた。
何を言ったところで彼の彼女は戻っては来ないのだ。
そう思うとユウタは何も言うことができなかった。
きっとひどい顔をしてたのだろう...彼はユウタに向けて、こんな話してすみません、と呟いた。
そしてユウタを見て微笑んだ。
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