運命に導かれて



「……嘘っ………」


羽衣はおもいきりルカの腕を振りほどく。



「嘘じゃない。もし帰る方法が見つかったとしても、俺もう羽衣を離すことなんてできない。」



「だって……ジェシカ様がっ……。」



一度決壊した涙腺は元々そうなのもあるが脆い。


「だからもう泣くなよ。ジェシカには悪いが俺はうんざりしてた。羽衣の部屋に行きたかったのにあいつがまとわりつくから行けなかった。それに…羽衣に言った言葉は許されるものじゃない。」



「でも…見たんです。ルカ様が帰城した日、そこで……。」


羽衣の視線の先にあるのはバルコニー。



「…見て…たのか?」


ルカもすぐその意味に気づく。






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