シャイニング・ライト
-帰路へと辿る足取りは軽かった。突然の出来事に心踊る感じだったからだ。次々に

頭の中に様々な思いが駆け抜けた。

 天使、天界と言っていたがホントに存在しているのだろうか?現実とは違う世界が存

在していたなんて・・・他にも異次元の世界が存在していて、まだ誰にも分からない世

界があるのだろうか???晃は今日自分が自殺を図ったなどすっかり忘れ去っていた。

正にそれほどまでセンセーショナルだったのである。

 晃は家に着くと、大急ぎで部屋に駆け上がった。はやるを気持ちを抑えられず、もど

かしさが隠せない。部屋をこじ開けるように開けると、もどかしい手付きで電気のスイ

ッチを探った。パチッと音がして、部屋に光が灯る。

 「・・・・・・」

 部屋にはジャスティスの姿はなかった。晃は肩を落とした。深いため息混じりに部屋

の窓を開ける。ベランダに出て周りを見回したがやはりいない。屋上で見えた満月が

妖々しく輝いているだけだ。屋上で見たジャスティスの姿を思い出した。神秘的な雰囲

気に包まれた映画のようなシーン。あれは夢なんかじゃない。現実なんだ、晃は自分に

言い聞かせるように言った。晃はベランダの塀に両肘を付けて空を見上げた。

 -星空はキラキラと幻想的に輝いている・・・綺麗だ。こうして夜空を見上げるのも

いつ以来だろう?これまで星空など気にもかけなかったせいか、それとも今日起こった

出来事のせいか、晃は静かな星空に心打たれていた・・・そして、五分がたったと言う

頃、

「晃~ご飯だから下に降りてきなさい」

 階下から母親の声が聞えてきた。空腹感など余りの興奮に忘れていた。不思議なもの

で夕飯だと言われて急に空腹になってくる。

 「今いくよ」

 と階段を下りた。


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