Honey Bitter
「こんなところで、何してんだ?」
形のいい唇から、やけに凛とした声が零れて空気に響く。
容姿に留まらず、彼は声にまで色気を漂わせている。
耳を塞ぎたくなる衝動を、自分の中で必死に押さえ付け、私は何も言わずに、ただどこまでも完璧な彼を真っすぐにみつめる。
けれど、蜂蜜色の髪から覗く焦げ茶色の瞳とは目線が合わない。
彼は一体、何を見ているのだろうか?
若干表情を変えた、彼の目線をゆっくり、ゆっくりと追いかけた。