Honey Bitter
目線の先には、手首から手の平にかけて真っ赤になっている、私の手。
「………っ」
ぎゅっ、と手の平を見られないように拳を作り、
もう血が止まっている手首の切り傷を、もう一方の手で隠す。
「落ちてきた血、お前のだろ?」
彼は、私が必死に隠していた手首から目線を上げて、私を真っすぐに見めてきた。
逆に、私は何故か彼の焦げ茶色の瞳から逃げるように目線を外した。
彼の目線は私の深層心理を探るように見ていて、物凄く居心地が悪い。
―どうして?
―どうして、邪魔をするの?