Honey Bitter
「自殺………、しようとしたのか」
何も言わない、目線さえ合わせようとしない私を彼はただ見つめてくる。
「貴方に、関係ない」
ぽつり、思ったよりもしっかりした声が、自分の口から落ちた。
早く、帰ってほしい。その一方でビルの10階まで階段で登ってきた彼の真意がイマイチ掴めず困惑してしまう。
「あぁ、無いな」
耳に届いた言葉に、反らしていた目線を上げる。
さっきとは全く変わらない表情の彼の目と私の目線がぴったりと合った。
あっけらかんとした答えに"なにがしたいんだ"といいたくなる。