Honey Bitter

光を放っていた月が流れてきた雲に遮られ、辺りは少しだけ暗くなった。




さっきよりもほんの少しだけ柔らかくなった声で彼は訳の分からない事を言っていた。




「………は?」




聞き間違えかと思い、少々間抜けな声で思わず聞き直す。




「帰るとこ、ねぇんだろ?なら俺が拾ってやる」




私は人間であって、猫や犬じゃない。




それに




私は拾って貰いたいんじゃない。邪魔をしないでほしいのに。



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