Honey Bitter
「死にたい」
誰もがみとれてしまいそうな美貌の持ち主の彼を真っすぐに見つめる。
「邪魔…、しないでよ」
不意に、ふわりと冷たい風が吹く。それを合図に、ズキズキと頭痛が酷くなった気がした。
ぐるぐると頭の中が回って、やけに心臓の音が大きくなる。
「結局、助けてなんてくれないくせに……」
何を口走っているのかも分からない。ただ、彼に微かな期待をしている自分が嫌で仕方ない。
「もう、期待するのは疲れた……」
ぐるぐる、ぐるぐる。
吐き気と目眩までもよおしてきて、これは風邪だなぁ、なんて呑気に考える。
「………っ」
ぐらり、
自分の身体を支えきれなくて、同時に意識は闇のなかに飲まれていった。