純恋〜スミレ〜【完】
「……――そろそろ禁煙でもするかな」
「え?どうしたの突然?」
「突然禁煙しようって思い立っただけ」
「アハハっ、何それ!!ねぇ、それってあたしの為~?」
冗談っぽくそう聞き返す。
違う、って言われても平気なように。
「あぁ。俺、お前の為ならどんなことでも犠牲にできるから。煙草やめるなんて楽勝」
「……――っ」
そんなこと言われたの、産まれて初めてだよ。
『好き』とか『愛してる』とか、ありきたりな台詞は元カレに何度も言われた。
その言葉を信じて裏切られたことだって、数え切れないくらいある。
だけど、優輝の言葉は胸の奥底にまでじんわりと染み渡った。