純恋〜スミレ〜【完】
「なんで!?喧嘩でもした?」


「まぁ……そんなところかな」


「マジかぁ……。純恋、大丈夫?」


「うん。全然、大丈夫」


「そっか。でもさ、マジでしんどくなったらちゃんといいなよ?純恋って自分の中に溜め込むところあるし」


「……ありがと」


そう答えた時、あたし達の会話を聞き付けたクラスメイトがこちらにやってきた。



「ねぇ、純恋!!達也君と別れたって本当?」


「うん」


「え~、何で~?超もったいないじゃん!!」


「なになに?どうしたの~?純恋と彼氏、何かあったの!?」


野次馬大好きな面々があたしの席をグルリと取り囲む。


「純恋、彼氏と別れたんだって」


ナナがあたしの代わりにそう答えると、野次馬達は「えーーっ!!」とわざとらしく驚いて見せた。




「ごめん、そういうことだから。もう合コンとか開けない」


「マジかぁ~……。残念。でもなんで別れたの~?」


ずっと前から達也に浮気されてたんだよ……。


口には出さずに心の中でポツリと呟いてみる。


なんか、ヤバい。


『浮気』という言葉を思い出すだけで、胸がギュッと締め付けられて苦しくなって。



唇を噛みしめて湧き上がる感情に耐えていると、


「ほら、もうそろそろHR始まるよ!!席着こっ!!」


小学校からの付き合いのナナは、あたしに気を遣ってかその場をしずめてくれた。






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