純恋〜スミレ〜【完】
「おい!!」
「……なに!?離してよ!!」
「ちょっと可愛いからって調子に乗って無視してんじゃねぇよ!!」
調子に乗ってってなにそれ。
今度は負け惜しみ?
ていうか、『ちょっと可愛い』ってなんなの?
マジ失礼な男。
ムッとして言い返そうと顔を上げた瞬間。
≪ブーーーーーーーッ!!!≫
高級車が盛大なクラクションを鳴らしながら、物凄い勢いでロータリーに入ってきた。
黒いプレジデント。
一緒に取り換えた覚えのあるクラクションの音。
車から降りてきた茶色い髪の見覚えのある男。
「……――テメェ、何してんだよ」
ドスのきいた低くて大好きだった声。
「……達也……」
「す、すみません!!」
あたしがそう呟くと、ナンパ男はあたしの腕から手を離して一目散に車に飛び込んだ。