純恋〜スミレ〜【完】
「お姉ちゃ~ん、もう着替えた~?」


本当に5分キッカリで部屋の扉をノックした叶恋。


準備出来たら呼ぶって言ったのに。


全然人の話聞いてないんだから。


あたしは頬に伝う涙を拭いて、グッと顔を持ち上げた。



「……――あと一分待って!!」


あと一分だけ、時間をちょうだい。


そうすればきっと涙も乾くはず。



最後くらい、強いお姉ちゃんでいよう。


あたし、得意だし。


辛いことがあっても、顔に出さずに『全然平気』って顔でいられるし。


メソメソしてる暇なんてない。


あたしにとって、一分一秒すら無駄には出来ないんだから。



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