純恋〜スミレ〜【完】
「今、優輝から電話あってさ。今こっちに向かってるから、ここで待ってろって」


「……え?」


優輝が……こっちに向かってる?


外に出たの……?


まさか……――。そんな……――。


「……――優輝……ダメだよ」


言ったじゃん。


あんなに何度も念を押したじゃん。


家から出ないでって、お願いだからって。


それなのにどうして……――。



「ごめん、あたし、優輝のところにいくから」


「チョッ、お姉ちゃん……――!?」


背中にぶつかる叶恋の高い声。


振り返ることなく、再び走り出す。

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