純恋〜スミレ〜【完】
「どうしてお姉ちゃんがこんなところにいるの?優輝先輩は?」


「……――叶恋!!」


叶恋の顔を見た途端、グッと胸に熱いものが込み上げてきて。


生きてる……。


叶恋……ちゃんと生きてる。


あたしは思わず叶恋の体をギュッと抱きしめた。



「よかった……。アンタが事故にあったって聞いたから……本当によかった……」


「自転車に後ろから突っ込まれちゃってさぁ。自転車のおじさんが救急車呼んだりするから、大事になっちゃったけど大丈夫。大悟がかばってくれたから、かすり傷だけで済んだし」


「そっか……。よかった……ッ……うぅ……」


ホッとした途端、ボロボロと涙が溢れだして。


「お姉ちゃん、最近泣きすぎでしょ!?」


叶恋が困ったようにあたしの背中を擦っている時、隣にいた大悟君の携帯が鳴りだした。




「……――ああ。お前の女なら今一緒にいる。あぁ。分かった」


電話を切った大悟君はあたしに視線を向けた。
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