純恋〜スミレ〜【完】
すると優輝は、余裕そうな表情であたしを見つめた。
「素直になれって。ホントはちょっと妬いただろ?」
「……は!?」
「髪振り乱して必死に走ってきたのも、俺と女が喋ってんのが嫌だったからじゃねぇの?」
「ち、ちがっ!!ていうか、髪振り乱してないし!!走ったのも、待たせて悪いなぁって思ったからだし!!」
慌てて否定しても、優輝の口元は意地悪く上に持ち上がったまま。
「でも、女の話した途端すっげぇ顔してたじゃん」
「すっげぇ顔って!?」
「そんな慌てんなって。可愛い奴」
優輝はニッと笑うと、あたしの肩をグイッと掴んで自分の方に引き寄せた。