疲れ切った心
「そういうことは本気で付き合ってる子にして」
「わかったよ。そのかわり下の名前で呼べよ」
言葉を遮られた仕返しに交換条件を出した。
「付き合ってるんだから下の名前で呼んでくれてもいいだろ?つーか俺、珠理が素の時に呼んでもらったことねぇんだけど」
よくよく考えてみればフルネームか名字でしか呼ばれてない。
どうせ言ってくれないだろうけど。
「悠斗。これでいいでしょ?」
ドキッ
「じゃあね」
さらっと言って角を曲がって行った。
「はあ~」
溜息をつきながらその場にしゃがんだ。
「不意打ちとか無しだろ」
きっと顔が熱いのは不意打ちで名前を呼ばれたから。
そう自分に言い聞かせながら帰った。