疲れ切った心

お人形





「珠理、これに着替えて降りてらっしゃい」



お母さんに渡された大きめの紙袋。



「分かった」



それを受け取ると、お母さんは出て行った。




中を取り出すと、小中大と箱が3つ。




とりあえず全部の箱を開けてみた。




大きな箱には真っ赤なショートドレス。



中くらいな箱にはシンプルな赤いパンプス。



小さい箱には小物とバッグが入っていた。




よくもこんなに揃えたもんだ。




用意されたものを全て身に着けて下に降りた。




気に入られるつもりはないので髪はブラッシングだけしかしていない。




「まぁ、綺麗よ珠理」



そんな言葉、嬉しくない。



「ありがとう」



作り笑顔を2人に向けた。



きっと私はこれから作り笑顔しかしなくなるだろう。




「その衣装は社長が用意してくれたんだ。お礼を言っときなさい。息子さんの好みらしい」



だからドレスもパンプスも赤なのか。
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