疲れ切った心



どうして?



どうして母子手帳がここにあるの?



だってそれは無くしたって言ってたじゃない。



「これに書いてあるわ」



恐る恐る母子手帳を手にした。



お父さんはそんな光景を黙って見ていた。



う、そ・・・・・



そこには確かにAB型と書いてあった。



お父さんでも、お母さんでもない字。



おそらく医者が書いたのだろう。



「ごめんなさい、珠理」



待ってよ



じゃあ私は何処の子なの?



「あなたはお父さんと付き合う前の彼の子なの」


「やっぱりな。通りで子供が出来るのが早いと思ったんだ」



ちょっと待ってよ



「ごめんなさい。一人で養っていくお金もないし、赤ちゃんのこと話したら陽一(よういち)さんが結婚しようって言ってくれて・・・・・」



頭がついていかない。



「陽一さんが一緒ならこの子が誰の子でも、私と陽一さんの子として産もうと決断したの」



お母さんの頬には涙か伝っていた。



なんでお母さんが泣いてるの?



泣きたいのは私。
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