疲れ切った心
「海、はい」
残りの紙袋を山本君に渡した。
「妹さんにどうぞ。私着ないし、珠理にも似合わないからね」
「サンキュ」
「珠理ちゃん、お待たせ」
おばさんが執事を連れて戻って来た。
「これ、全部持って行って頂戴。たくさん貰うから食べきれなくて」
上品に笑うおばさんは、とても子持ちには見えない。
「ありがとうございます。今日は十分に良くしてもらいました、そのような物は受け取れません」
「気にしないで。珠理ちゃんが食べてくれなくちゃ賞味期限が切れてしまうのよ」
でも・・・・・
「持ってって、珠理」
「ありがとう・・・・・。何時もお世話になります」
この家族には助けられてばかり。
「珠理ちゃん、学校では何不自由はないか?」
「はい、何不自由なく学校生活を楽しませてもらってます」
「そうか。何かあったら直ぐに言ってきなさい」
「はい、ありがとうございます」
この家族の親切心に笑みが零れた。
「ありがとうございました。おやすみなさい」
お礼を言って失礼した。