好きな人の忘れ方
それから、啓太郎は黒いノート?をじっと見つめたまま、渋い顔をしていた
私は、その気配を感じながら出かける為の準備をしていて
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「基本的には声に出した声にしか返事しねぇぞ」
「・・・うむ」
「遊んでんじゃねぇ」
「はい。すみません」
「・・・・・」
「な、何でしょう」
突然、こちらを振り返った啓太郎に見つめられて固まる
何年も見てきて、何年も当たり前だったのに
たったそれだけの事が、今はもう当たり前じゃない
当たり前なんて、すぐに消えて無くなる
そんな事、この3年で嫌ってくらい思い知った
「お前、謝ったりすんだな」
「・・・・・」
「いや、珍しいと思って」
嬉しそうに笑った啓太郎の顔を見て
最後に、この笑顔を見たのはいつだったんだろうと、改めて胸が痛んだ
少なくとも、あの最後の時よりもっと前だった