好きな人の忘れ方




こんな風にお互いが仕事だったら、啓太郎のが先に出て私が見送る




「いってらっしゃい」


一人暮らししてから、この言葉を言える相手が居る事の大切さを教えて貰った




気が向けば、お弁当なんか持たせてみたり


今日みたいに雨だったら、啓太郎が近くの駅まで車で送り迎えしてくれた





この間まで、ついこの前まで当たり前だったのに・・・・





私はこんな風にしか出来ない

泣いたりして、浮気なの?とか聞いたり出来ない

さっきみたいに、思ってもない事ばかりが口にでる





だけど、私だって一緒に居たいとか、好きだとか思わない訳じゃない


学生の頃とは違ってお互い忙しくて、まともにどこかへ出掛けたのだって数ヶ月前



こんなんじゃダメだと思って、仕事を切り上げた。今日は有休を使って休みも取った




一緒に居たいって思った




だって・・・・・・・


今日は、4年目の記念日








だから、我慢すれば良かったんだ


違う、素直に聞けば良かっただけ


あれは誰?

どうして嘘ついたの?って






いじけて、拗ねて

捻くれてなければよかった








何度そう思っても、

何回もそうしたいと願ったとしても、







啓太郎は、もういない







いなくなった







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