天使と悪魔
図書室の幽霊

転校生

6月12日、ジメジメとしたこんな日に転校生なんて、似合わない。
転校生だったらもっとよく晴れた新学期とかに来るもんだ。こんな雨の日で1学期の半ばという中途半端なときに来なくたっていいじゃん。
「穂乃嘉?何ぼーっとしてんの、先生来るよ」
なんだ絢か・・・絢は私の親友。でも、お互いにそれぞれ違う部活に入ってる。
絢はバレー部、絢の夢は選手だからそっちを優先したよう。私、穂乃嘉は特に夢があるってわけじゃないし、趣味もないけどちょっと今までと違った部に入ってみた。
それが、「ミステリー部」。このクラスからは私と男子の柚宇(ゆう)、最初はみんなにからかわれていやだったけど・・・。
「ねぇ、絢。今日来る転校生って男?女?」
「分かんないけど、噂ではたしか男だって。結構かっこいいらしいよ」
「ふ~ん。あんまり期待しないほうがいいよ」
正直、恋とか友情とかよりも、勉強のほうがヤバイ私。そんなのどーでもいいよ。

ガラガラ・・・
「おはよう、今日は転校生が来た。鳩山君、来なさい」
どんな人かな・・・。
「・・・」
「んん゛ーん、鳩山君、自己紹介を」
うわっ何か空気が重い・・。
「は・・・鳩山、慶吾です・・・」
「・・・はい!鳩山君はあの席にね。みんな仲良くしてあげてください」
見た感じ、静かで・・・恥ずかしがりや??顔は別にかっこよくもブスでもない。
「せんせーい、慶吾って何部?」
「え~と、ミステリー部だ」
「えぇ!?」
うそっ、私と一緒!?やだ~。
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