失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



…なんだよ…この感覚

なんか気に障るな

しっかりして欲しいんだけど

なんであなたがそこまで頼りなく

見えるのか理解できないし



ああ…

わかった

僕は気がついた



嫉妬だ

兄貴の親父さんに嫉妬



またかよ

終わったはずの苦痛が

よみがえることにうんざりした

兄貴も取られて…彼もまだ

あいつのものかよ



なんでいつもあいつは僕の前に

必ず居るんだ?

もうこの世から消えても

みんなの心の中にあいつがいる

きっと母すら…

人は肉体が死んでも死なないのか?

思うようにならなさすぎて

絶望的になってくるよ




「なんだ?…ムッとした顔だな」

「…知らない」

僕は更にムッとして答えた

「ヤブヘビの意味をそんなに知りた

いか?」

「もう…いいよ…」

彼は苦笑しながら僕に言った

「捜査しないつもりかと思ってるの

か?…悪いがそこまで私はウブじゃ

ない」

ズレてる答えにまた腹が立った

「…どうせ僕はあなたにとっては彼

の埋め合わせなんでしょ?」

彼の顔を見るのが腹立たしくて

僕は彼に背を向けて壁にもたれた

そんなこと僕が言えた筋合いでは

まったくないこともわかっていて

沸き上がる感情に飲み込まれていた






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