失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
まだ誰にも打ち明けてはいない
いや…知られてはいけない
僕たちが愛し合っていることも
兄とその血を分けた父親との関係も
あの思い出したくもない
悪夢のような陰謀と犯罪のことも
もしあの二人組が警察から逃れて
また刑を終えて兄に近づくことが
あるだろうか?
そんな可能性と理由が
果たして彼らにあるのか
そして
ああ…
考えたくない
あの人のことを
また彼が何か関わっていたら
彼が生きていて
密かに兄と接触して
彼が
兄を
殺…す…?
な…んの…た…めに…?
僕…を…
そんな…ひどい…
また僕は
思考を止めた