失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



「ま…話せることは話そう…」

男性は僕に告げた

その言葉には誠意を感じられた



「君にはわかっていると思うが…私

はこいつの父親だ」

彼は無言でこれまでのように

全く反応もせず腕を組んで

ソファーに深く座っていた



知っているんだね

この人がお父さんだと

あの時父親は知らないと言っていた

だが死にかけた時に助けてもらった

例の"相撃ち"の知り合いは

やはりこの人で

父親



いつ彼らは打ち明けあったんだろう

ギクシャクしながらも

ねじれた愛をお互いから感じられた

特に父親のほうに強く

彼を助けたいという気持ちを

僕は感じていた



「ええ…わかってました…声が…似

ていて…二人とも知ってたんだ」

「まあ…そうだろう…これから話す

ことは機密だ…だが君には言わなけ

ればならないと思っている…君はこ

れを誰にも漏らさないと約束して欲

しい…どうだね?」

僕は深くうなずいた



「君を信用する…」

彼は僕にそう告げた






< 310 / 514 >

この作品をシェア

pagetop