失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「ま…話せることは話そう…」
男性は僕に告げた
その言葉には誠意を感じられた
「君にはわかっていると思うが…私
はこいつの父親だ」
彼は無言でこれまでのように
全く反応もせず腕を組んで
ソファーに深く座っていた
知っているんだね
この人がお父さんだと
あの時父親は知らないと言っていた
だが死にかけた時に助けてもらった
例の"相撃ち"の知り合いは
やはりこの人で
父親
いつ彼らは打ち明けあったんだろう
ギクシャクしながらも
ねじれた愛をお互いから感じられた
特に父親のほうに強く
彼を助けたいという気持ちを
僕は感じていた
「ええ…わかってました…声が…似
ていて…二人とも知ってたんだ」
「まあ…そうだろう…これから話す
ことは機密だ…だが君には言わなけ
ればならないと思っている…君はこ
れを誰にも漏らさないと約束して欲
しい…どうだね?」
僕は深くうなずいた
「君を信用する…」
彼は僕にそう告げた