失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「殺される前に彼女を検挙出来なか
ったのが悔やまれる…それは本当だ
だが管轄外の私にはどうすることも
出来なかった」
「しかもそれを殺人としてすら立件
しない…そりゃそうだ…立件させな
い…あの女が死んで誰かさんは喜ん
だ…自殺で捜査は終了…それで十分
だろう」
彼が鼻で笑った
「そのことがいまだにこうやって尾
を引いている…君を巻き込んで…」
彼は再び低く呟いた
男性はため息をついた
「話が進まん」
「いいです…僕は…聞きたい…聞か
なきゃ…納得出来ないよ」
僕は絞り出すように二人に告げた
「もう…知らないことの影響下で何
も分からず苦しんでいるなんて…耐
えられないんだ…巻き込んだという
なら…全部聞かせて下さい…どんな
ひどいことでも…聞かせてよ…知ら
ないままじゃ…」
あとは言葉にならなかった
知らないままじゃ
あなたと別れるなんて
無理だ