失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



その次に

僕の脳裏に玉久司島の光景が

広がった

そして

あの日の顧問の言葉

倍音の意味

いなかった5人目

自分の中に見つけた答え




そして

奇妙な罪悪感

(違う神に祈る罪…?)

(裏切り…)

まさ…か

あの時僕はどの神様もひとつ

そんな風に思っていたはずだ

それなのに




猛スピードで

あの日の記憶を辿る

木立の中の赤い社の前

みんなの横顔

フッと

心に何かがよぎった

(良いのかな…)

それを

瞬時に

押し込んだ

心の底に




トラウマと

失望と

罪悪感と



これらが僕の忘却を支え

祈りを閉じ込めたのだろうか






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