ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
違うキス
◇◇◇


「公園とか超久しぶりじゃねえ?」

「……うん」


駅までの道のりにある公園を見つけて、八木原くんがはしゃいでジャングルジムに登りだした。

仕方なくついて公園に入る。


小さな公園だからそこには人気がなくて、懐かしいというよりちょっと不気味な感じだ。


一人で立っているのが怖くてジャングルジムに近づいた。

すると天辺まで登った八木原くんが手を差し伸べる。


「の、登れないよ!」

「いーじゃん、誰もいないしパンツ見えても。あ、俺が見るけど」

「……八木原くんだんだんセクハラ親父っぽくなってるみたい」


口を尖らせて再び白い目を向けると、大げさにショックを受けたように額を押さえて笑った。

確かにスカートを履いてるけれど、そんなミニスカートじゃないし登ったって下着なんて見えるはずもないけど。


「おいで、おいで」


八木原くんを前の彼氏と比べるつもりはないけれど、光浦さんは落ち着いた大人の男の人だったからこういうのは新鮮だった。
< 120 / 226 >

この作品をシェア

pagetop