ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
元婚約者
水嶋が手伝ってくれたから作業は一時間で終わった。

仕事がデキる男は雑用もデキるらしい。


複雑な思いでチェック表を受け取る。


記入漏れがないかチェックしながらチラリと横目で水嶋を見ると、大きく伸びをしながら欠伸をしていた。

それを見て疲れてたんじゃないかと申し訳なく思う。


「仕事……、忙しいんじゃないの?」

「あーここんとこずっと忙しくてさ、でも昨日でキリついたから」


昨日まで。

それで社内で水嶋の姿を見かけなかったのか。


「ホラ、それ終わったからもう帰れんだろ?」

「え、う、うん」

「さっさと飯行こーぜ」

「……」

「カバン取って来るから逃げんなよ」

「……」


逃げたい私の気持ちも知って、どうして一緒にご飯なんて食べに行こうとするんだろう。
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