ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

「じゃ取り合えず乾杯だな」


水嶋がビールの入ったジョッキを持ち上げる。

私は黙ってウーロン茶の入ったグラスを持ち上げて合わせた。


ドリンクは水嶋が勝手に頼んだ。

もう酒は飲むなってことだろう。


大きなお世話だと思ったけれど言い返すこともできないから黙って受け入れた。


ビールを２口ほど飲むと水嶋はひょいひょいと鍋から豆腐やネギ、エビやホタテの具材を取り皿に取った。

辛そうなスープが食欲をそそってお腹が空いてくる。


「ほら」

「あ、ありがと」


自分の分を選んでると思ったのに私の分を取り分けてくれていたらしい。

こういうのって本当は女の私がやることだよね……。


少し肩身の狭い思いをしながら熱々の豆腐を冷ましながら口へ運んだ。


「から……っ。でもおいしい～」

「だろ？　美味いよな」