ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「事実確認なんてへこむだけじゃん……」

「このままだって十分へこんでるでしょうが! それとも何? このままセフレにでもなるつもり!?」

「ならないよ。それはならない」


キッパリと答えると「ならいいけど」とホナミは安心したように息をついた。

もしかしたら水嶋は私にそんな関係を望んでるのかもしれないけど。


思い知ってしまった。

温もりを感じて幸せを知ってしまったら、離れた後の現実がいかに厳しい寒さなのかを。

私にはこれを繰り返す自信はない。


だから水嶋に彼女がいるのなら、キッパリと諦めようと思う。

芽吹いたばかりの小さな思いを無理やり摘み取るのは痛いけれど。


「来月さ……。地元で飲もうって友達に誘われてるんだけど」

「それー! 情報収集にうってつけじゃないの!」

「行きたくない……」

「この後に及んでビビッてんの!?」

「それもあるんだけどさ……。婚約解消したのツッコまれるのが怖くて今まで避けてたんだよね……」
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