ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
きゅ~っと胃がしぼられてるみたいに痛い。


うう、お酒なんか二度と飲まない。

この世からなくなってほしい。


あれ、これ先週も言ってたっけ。


「ちょっとメイ! ほんとに大丈夫?」

洗面台でブツブツとつぶやく私にホナミの心配そうな声が廊下から飛ぶ。


「んっ……。ばいばい」

私は最小限の会話でよろよろと洗面所を後にすると、玄関でヒールのパンプスをひっかけた。

胃を抑えながらエレベーターで1階まで降りると、変な浮遊感で貧血にも似た気分になる。

スーッと気が遠くなる感じ。


ああ、このまま天国に召されちゃうかも、なんて思いながらも数秒後にはしっかりマンションのエントランスに着いてしまう。

そのままフラフラと外に出る。


カツカツと音を立てるヒールの足回りがうざったい。

足首に鉛の足かせでもついてんじゃないかって思う。
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