ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
あんな風に言われてしまったのに、あえて断るなんて強気に出られるような私じゃない。


だけど水嶋に強く出られないのと同じように、課長にも強く出ることなんてできない。

課長の中じゃ、私はすっかり金曜日の残業要員なんだから。


「えぇ~。でも水嶋さんには行くって言ってくれたんだよね?」

「え?」

「水嶋さんがそう言ってたもん」

「……あ、うん」


水嶋の中じゃ勝手に私は参加を了承したことになってたらしい。

優柔不断な私の性格を見抜いてるからこその確信がちょっと面白くない。


リアちゃん、水嶋と社内で会ったのかな?

それとも……、メールとかしちゃう仲なのかな。


「だけどきっと今日も残業だよ」


私がため息交じりに答えると、リアちゃんは同情したように「そっかぁ」と声を落としてくれた。

同じ派遣社員だっていうのにこの立場の違いはなんなんだろう。

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