一期一会
 

 特に金、銀、赤、白の毛色をした子供は性別に関係なく、破格の値段で取引された。労働力としてもそうだが、たいていの場合は少年趣味、少女趣味目当ての者がほとんどである。

 世界各地で競売は行われた。そこでは身の毛もよだつ光景が展開されていたのだ。

 四、五十人は入るほどの、ホールにしては狭い部屋がある。観客は皆、目を隠す仮面をつけている。

 司会が合図を出すと、体をマントで隠し、覆面を被せられた、年端のいかない少年が連れられてきた。さらに司会が合図を出すと覆面とマントを剥がされる。

 そこには逃げられないようにと首輪に鎖が繋がれ、後ろ手に手錠をされた裸の少年が立たされている。買手によく見えるよう、強い光を浴びせられ、全身を一回転させられる。買手は少年を下から上まで舐めるように見ては品定めをするのだ。

 司会が開始の合図を出すと、会場は一瞬で熱気を帯び、怒号が飛び交い、赤黒い欲望が部屋を渦巻く。

 少年は恐怖に襲われ、心は凍りつき、泣くことも忘れ、ただ絶句するしかない。悪鬼亡者の類が絶叫している、サバトに放り込まれたのだ。

 
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