一期一会

　

　女達もまた悲惨であった。

　軍事工場では強制的に労働力とされた。宵の明けぬうちから叩き起こされ、仕事をさせられていた。食事は黒パンに肉の入っていない野菜屑のスープだけ。ろくな休憩時間も無く、仕事の手を休めれば容赦なく体に鞭が飛んだ。

　しかし、彼女達はどんなに陰鬱で過酷な環境でも耐えてきた。なぜなら彼女達には一筋の光にも似た希望があったからだ。

　夜遅くに仕事を終えて､粗末な食事を済ませると､疲弊しきった体に鞭打って机に向かい、震える手でペンを持ち、黄ばんだ紙に愛する人への想いを綴ったのである｡心配をかけまいと、気丈にも自身の冷遇を隠して書いたことが容易に想像できよう｡

　ここにある女の手紙がある｡一部ではあるが、ここに書き記すのは有意義なものではないだろうか。