君ニ恋シテル
路地裏の少し奥まったわかりづらい場所に、そのファミレスはひっそりと佇んでいた。

ファミリーレストランの文字が、ネオンでぼんやりと輝く。


「ファミリーレストランって…店の名前が、ファミリーレストランなんだね」

店の目の前まで来て、私は呟いた。

普通、ファミリーレストラン〇〇って、名前があるものじゃないのかな…?


「なんか、この店微妙…。
他行かない?
もしくはやっぱあの新しいファミレスに戻るとか!」

ここがよっぽどイヤなのか、亜紀ちゃんは騒ぎだした。


そんな亜紀ちゃんをよそに、私はファミレスをジッと見つめる。

看板は地味だけど、キレイな外観、ガラス越しに見える店内も、古い感じはしない。

むしろいい感じに見えた。


だけど…中はガラーンとしていて、まったく人の気配がない。

お客が一人もいないように見える。
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