君ニ恋シテル
「浩ちゃん…気付いてたんだな」

「ん?あー…マジかよって話だよなぁ、ほんと」

右手で髪をくしゃっとしながらソファーに深くもたれる逞。


「…沙弓ちゃんには連絡したのか?」

「したよ…でも全く反応なし。こんなときに無視とか意味わかんねーよ」

逞はそう言いながら携帯をいじり始めた。


「あ…優奈ちゃんからメール来てるし。もしかして徹平にもきてる?」


携帯を見ると…

「俺にも来てた…優奈ちゃん、心配してメールくれたんだ」

「うん…あー…俺、ファンの子達のこと驚かせちゃったんだもんなぁ」

逞はため息とともに静かにそう言うと、俯いた。


こんなに落ち込む逞は初めて見たかもしれない。

何度もため息をつく姿を見るのは、やっぱり辛かった。

報道のあとすぐに、逞と沙弓ちゃんは謝罪の言葉と、交際を否定するブログをアップしていた。


「逞…そんなに落ち込むなよ。今更この報道を取り消すことができるわけでもないし…」

「わかってるよ…大丈夫」

そう言いながら笑顔を見せるも、やっぱりいつもの逞の笑顔ではなかった。


「あーぁ、社長にかなり怒られたし、今日は最悪だなぁ…ってかなんで俺だけ?徹平と優奈ちゃんも撮られればよかったのに」

「なに言ってんだよ」

冗談だよと言って笑い声を上げるも、すぐにまた下を向く逞。


「…どうするんだ?」

社長に沙弓ちゃんとは即別れろと言われていた。

これからの沙弓ちゃんとのことを、逞はどう考えているんだろう。


「どうするって?」

「沙弓ちゃんとのことだよ」

「…どうするもこうするも」





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