ナンパ男との恋 3巻

「何で そこまで
あの人に・・・」


「してあげるのかって?」


小さく頷き
輝樹の方を見ると


「俺、あいつと昔
付き合ってた時期があってな、
ちょうど 3ヶ月くらいだっけなぁ・・
あいつん家の親父が
未成年の女に手出してってのが
ニュース沙汰になって。
まぁ、いい会社のお偉いさんだったってのもあって
地元の奴から 関係ないあいつとか家族とか
いろんな嫌がらせされて
結局、離婚して引っ越す事になって・・・
そん時・・・あいつ
俺と一緒に暮らしたいって
夜中泣きながら来てな・・。
けど、20そこそこで
俺 真剣に誰かと付き合うって事が まだまだできねぇ年でさ。
そのまま そこで別れたってわけ。
んで、
引っ越してから かなりひでぇ目に遭ったみたいで
そんな話聞いた後に
家に一人でいるのが怖いだの聞いたら
罪悪感つーか・・・な」


輝樹らしいと言えば そうだけど・・・

だけど、


「じゃあ・・・
また あの人の所に行くの?」


「いや、さすがに
俺も 体力の限界つーのもあるし
あいつは嫌がってるけど
亮にでも頼もうと思って。
こんなので 春菜に浮気されても
かなわんし」


浮気って・・・


「お嬢さん、
他に ご質問は?」


こういうふうに
何でも聞ける雰囲気な時に限って
聞きたい事が
頭から 急に吹っ飛んだように
忘れてしまってる・・・。

聞きたいことは
たくさん あるはずなのに
思い出せないなんて・・・




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