空を翔ける一筋の流れ星
「私、死んでいなかった。

ずっと昏睡状態で、死んでいなかった。

あの夕日の中で翔さんの言葉を聞いた瞬間、目が覚めて病室にいました。

本当はすぐに来たかったけど、体力がある程度戻るまで病室から出れなくて。

早く、ほんの少しでも早く来たかった」


何かが溢れて出てくるように一気に話し、空の目からは大粒の涙が零れた。

それを見たとき、俺の気持ちが抑えられるはずがなかった。


「空っ」


力強く抱き締める。



触りたくても触れなかった、さらさらな髪。



感じたくても感じられなかった、その体の温もり。



それらが全て、俺の手が触れている。


「空、好きだ」


耳元で囁き、空の表情を見る。



まだ大粒の涙は流れていて、それをそっと手で拭ってあげると、その手をぎゅっと握り締めてきた。


「私も、翔さんのことが好きです」


「もう・・・絶対に離さない」


迷わずに唇を重ね合わせ、先ほどよりも力強く抱き締めた。



この夜景に俺たちは溶け込み、長い口づけを交わした。



一葉と妃來がいることが、気にもならなかった。



触れることが許されなかった、それさえもどうでもよく思えるくらい、長い口づけだった。
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