空を翔ける一筋の流れ星
部屋の様々なところにある漫画の本を一冊一冊拾い集め、ちゃんとした順番に並べ替えて本棚に入れようとしたらアルバムが落ちてしまった。


「わあ、もしかして高校生のときの翔さんですか」


アルバムの写真は高校のときのものばかりで、学ランを着ている俺は今よりも当たり前だが若く見える。

こんなものが出てきたら、懐かしくなってしまって掃除どころではなくなってしまうので見ないでおこう・・・


「学ラン姿の翔さん、若いですね。これは体育祭ですか」


「それはだな」


写真にコメントしてくる空のせいで、ついつい掃除の手を止めて一緒にアルバムを覗き込んでしまった。


「あれ、これ一緒に写っているのって妃來さんじゃないですか」


一番下に挟まっている写真、体育祭が終わったあと夕日を後ろにして写っている写真を指差した。


「よく妃來って分かったな」


「雰囲気です。

でも、今と外見は全然違いますね」


その写真の妃來は髪は黒くて短く、メガネもかけていて今とは大違いだ。


「あいつは大学生デビューだからな。

今でこそ、髪が長くて色は染めているし、コンタクトにしていてすげえ女の子っぽいけど、昔はそんな感じだったんだよ。

性格は根本的なところは変わってないけど、高校までは恥ずかしがり屋で人の目を見てまともに話すのも一苦労だったんだぜ」


信じられないという空の顔を見たら、高校のときの写真を見たい気持ちが一気に高まってしまった。

まあ、部屋に来るのは妃來だし、多少は散らかっていてもいいよな・・・
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