空を翔ける一筋の流れ星
三人が立ち去っても主は追うことなくこの場に残り、相変わらず俺の体を握りつぶそうとしていた。

どうやら、俺が見えていることにちゃんと気付いているようだ。


「よう、俺が見えているの分かっているんだろ」


試しに話しかけてみたが、より一層縛りがきつくなっただけで何も変化はなかった。

あわよくば怒り以外の感情が見えるかと期待したのだが、そう簡単にはいかずといったところか・・・



俺は余程のことがない限り、幽霊とは向き合わない。



特に意味があるわけでもないし、こうしたほうが良いと誰かが言っていたわけでもないのだが、向き合うと色々と厄介なことがありそうでこうしている。

向き合わなくとも、感じてはいるので大体はどういう反応かは分かってしまうのだが。


「悪かったな、興味本位でここに来ちまって」


こいつも例外ではなく、視線を変えずにもう一度話しかけてみた。

怒りの原因が俺たちがここに来ただけではないことなど分かり切ったことだ。


「・・・」


ヤバいうえに厄介なやつだ。



先ほどから変わりなく、怒りの感情で俺の体を握りつぶそうとしている。

気を抜くと・・・



一気に心を持っていかれてしまいそうだ。
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