空を翔ける一筋の流れ星
「あの・・・」


この緊迫した場面に、不思議そうな顔をして空がこちらに話しかけてきた。


「何だよ」


神妙な顔つきで、わざと声を低くして答えたのは、何か場の空気が一変してしまいそうな、そんなことを思わせるような顔を空がしていたからだ。

今までの空の行動を振り返ると、ここは場違いな発言をしてくるような気がする・・・


「翔さん、さっきから誰に話しかけてるんですか?」


空気が変わった。

いや、俺に纏わりつく空気は変わっていない。

正確に言えば、空だけが俺たちとは変わった空気を出している、纏っているのだろう。


「お前、見えないのかよ」


「何がですか?」


ああ、一体こいつは・・・



人が必死で心を持っていかれないように耐えていて、そんなにも強力なことをする幽霊が目の前にいるというのに、ここまで緊張感を出せないというのだろうか。

軽く視線で後ろに幽霊がいるという合図を送っているのだが、それでも不思議そうな顔を変えないで首を捻りながらこちらを見ている。

最初は呆れていたのだが、あまりにも気付かずにその表情を変えない空に段々と腹が立ってきてしまった。
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