空を翔ける一筋の流れ星
ただならぬ空気にようやく気付いたのか、さきほどまではしゃいでいて能天気だった空の表情も曇り始めていた。

みるみるうちに何かに怯えるような表情へと変わり、心配してしまうほどに彼女は同じ幽霊に怯えているようだった。



「ちっ」と舌打ちし、幽霊のほうへと振り返る。



気を抜いたら心を持っていかれそうだ。



さきほど感じたままに自分の心を強く持っていたおかげで、幽霊と向き合っても自分を保ったままでいられた。

しかし、内心はかなり動揺していた。



同じ幽霊。



それでも、いつも見ている空とは大違いで表情が一切なく、ただ冷たい視線をこちらに向けているだけだった。

その間も視線と一緒に怒りの感情もこちらに向けてきて、それらが俺の体に纏わりつき、強く締めあげている。

視線を外すことなく俺のことを凝視している姿は、俺に何かを訴えかけているようにも思える。


「おい」


どうなるか分からない。



それでも、黙ったままこの状態が続くよりは幾分かマシなはずだ。



俺は一か八かの賭けに出ることにした。
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