空を翔ける一筋の流れ星
今までたくさんの幽霊を見てきた。

冗談抜きで数え切れないほどの幽霊を見てきて、そのなかで危険だと思った奴にも何度も出くわしてきた。



しかし



そのなかでも今目の前にいる幽霊はかなり危険だと、俺の中にある本能的な何かが知らせている。



纏っている空気が違う。

それだけじゃない、明らかに人を憎んでいて、それが強力なオーラのようなものを発しているのが全身に伝わってくる。



間違いない。



かなり危険とか、それどころではない。



今までで一番危険な幽霊だ。




そうと分かっても、今の俺にはこの場を立ち去るという選択肢を選ぶわけにはいかない。

この場から立ち去ったところでこの幽霊はきっとついてくるだろうし、そうすれば俺だけではなく一葉や他の奴らにも何が起こるか分かったものじゃない。

こいつの憎しみや怒りを鎮めるなどと大層なことはできない。

それでも、俺はこの幽霊と向き合わなければいけない。


「ったく、霊感が強いっていうのも困ったものだね」


少しだけ皮肉を込めて、そして、ほんの少しだけこの言葉で幽霊の空気が和むかもしれないと期待を込めて口に出した。



しかし、こんなことで憎しみが小さくなるなどということは無かった。



本当に・・・



本当に、困ったものだよ・・・
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