デスペリア


「なーるほど。なるほどなるほど」


知ったかのように魔物は一人頷き、チルチを床に落とした。


倒れたチルチの腹に、逃げられぬように魔物が足を置く。


「ほらぁ。ほれほれほれぇ」


「っ、う……!ミュミュ、ミュ、ミュ!」


チルチの眼前にあるのは、魔物の手によって体を引き伸ばされるミュミュの姿だった。


手を伸ばして助けようとするも、魔物の手中にあるミュミュには届かない。


「やめ、やめてえぇ!」


「ヒィハハ!やっぱりか!ビンゴ、ビンゴビンゴビンゴーっ!なに、お前、これがそんなに大切なのぉ?」


引き伸ばされるミュミュは紙のようにも見えた。ジタバタと小さな足で抵抗するも魔物は手を離さない。


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