脇役≠ヒロイン
「お前が?、、、平凡な女だな」
赤いのは千里をなめ回す様に見て、馬鹿にしたように言った。
「今、なんて?」
聞き捨てならない言葉が聞こえた気がして、もう一度聞き返せば赤いのはやっぱり馬鹿にしたように言い放つ。
「神沢も趣味悪くなったよなぁ、こんなふっつーの女が良いとか…ま、アンタも美人って訳じゃねーけど」
俺はギリだな、なんて上から目線で言う赤いのに何かがプツンと切れた。
「ハッ、アンタに言われたくないわよ…自分がどんだけだと思ってる訳?」
「テメェ…」
鼻で嗤ってやれば、さっきまでの馬鹿にした様に笑っていた顔には怒りが乗っかっている。
「平凡?そうね、顔は確かに平凡だけど…千里は普通の平凡じゃないのよ可愛い平凡なの何処が可愛いかって?なんでアンタに教えてやらなきゃならないのよ」
「い、イヤイヤ教えてくれなんて一言も……
「そんなに教えてほしいの?仕方無いわね少しだけよ…とにかく笑顔が一番可愛いのもう見ただけで癒されるの、泣き顔だって可愛いのよ?チワワみたいに潤んだ目で見られると何でもしてあげたくなるのそれから……
すらすら出てくる言葉の数々に、赤いのも、私の腕を掴んでいる奴等もポカンと……と言うより引いているのが分かる。
「あ…ずさ……止めて恥ずかしいから」
顔を真っ赤にしながら千里が止めに入る。
「なんで?本当の事なんだから恥ずかしがらなくても良いでしょ?」
「梓……」
自分の事を馬鹿にされるのは構わない。(いや、腹は立つけど……)
自他共に認める『千里バカ』としては、赤い奴の言動は許せない。