夢の続きで逢えたら

光を求めて


次の日の夕方、

僕は予定通り退院した。


空は、昨日の雨が嘘のように澄んでいて、

オレンジ色の夕日が、薄く伸びた雲をどこまでも照らしていた。



それとは対照的な、薄暗く染まる僕の心。

嫌なことばかりが頭に浮かんでしまい、

妙な胸騒ぎも止まらない。



結果に関係なく、必ず来るはずなのに、

昨日、誰も僕の所へ来なかった…




何があったの…?



まさか……


僕は急いで携帯の電源を入れ、電話をかけたが、

一向に出る気配がない。


嘘だろ。誰か出てくれよ。


どうしたらいいかわからず、とりあえず家に戻って待つことにした。


家までは少し遠かったが、一日中寝ていたため、

身体を動かしたいというのもあり、僕は歩いて帰った。



途中、地元でも人気のデパートの前に、

大きなクリスマスツリーが見えた。


このデパートは、駅を境にして、

僕の家とは逆側にあるため、もう何年も来ていない。


だから、こんな綺麗なツリーがこの街にあるなんて気付きもしなかった。





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