その手で溶かして
でも、2人の会話が私のためにされているのが、少し嬉しくて……



本音を隠したまま、ただこの場に溶け込んでいた。



「拓海はエン君の家行ったことあるの?」



「一回な。好きに使えって合鍵までもらったぞ。」



そう言いながら、キーホルダーに沢山付いている鍵を顔の前で揺らした。



「なんで、そんなに鍵を持ってるわけ?どこの鍵?」



ナオはウミから鍵を受け取り、個数を数えている。



「まぁ、色々だ。」



「それより、エン君ってそっち系?」



そっち系?



ナオの言葉は慣れるまでに時間が掛かった。



今では殆んどの言葉を理解できるようになったけれど、たまにこうしてわからない言葉が出てくる。

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